レンタポ

家賃保証を理解する

家賃保証会社の財務傾向

保証会社を利用されるにあたり、どういった基準で保証会社を選ばれているでしょうか?
以前、管理会社へアンケートをとったとき、トップ3が①商品内容 ②経営状況・財務内容 ③業務能力の順でした。

今や、上場会社もでき、財務内容も見れるようになってきました。
売上高、利益、引き受け件数、代理店社数の推移など大手保証会社では、ホームページに掲載されており、把握しやすくなっています。

一方、帝国データバンクや商工リサーチなど外部データベースを使って、財務内容を見ている会社は、ほとんどありませんでした。
それだけ、信頼しているということかもしれません。

また、財務諸表の何を見てよいのか分からない、といった声も多く聞きました。
自社保証される方にとって、財務諸表を通じ、保証会社比較をし、事業開始の検討される方もほとんどおりませんし、役に立つのかといったこともあると思います。

ただし、これから始める事業について、どういったことが財務諸表で反映されるのか、他の業種と何が違うのかといった保証会社の傾向を捉えておきますと、より理解が深まりますので、取り上げさせていただきました。

今回の保証会社比較にあたりましては、2012年~2013年の数字になり、少し古いデータとなりますが、その傾向、違いなどを把握していただくことが目的となりますので、ご了承ください。

下の図は、保証会社の貸借対照表を比較したものです。
各社左側が資産(流動資産及び固定資産)、右側が負債(流動負債、固定負債、純資産)となります。
各社見てきますと、そのバランス、割合に大きな違いがあります。

まず、保証会社の財務の傾向としまして、全ての保証会社に言えることではありませんが、以下にまとめてみました。

保証会社の財務での特徴としまして、損益計算書では、貸倒引当金をどれくらい積んでいるのか、代位弁済支払金は損金計上しずらいということから、利益が出やすく、黒字調整がしやすいといった面があります。
即時に「滞納=損金」ではありませんので、実際のキャッシュの動きと違いがあります。

貸借対照表においては、保証履行による支払いが発生し、かつ保証履行のタイミングも早い時期の商品が好まれますので、立替え金が多くなり、流動資産が多くなります。
立替えた家賃の回収ができないと、そのまま流動資産として残ってしまい、流動比率が高くなっていきます。
一般的には、流動比率が高ければ、短期的な支払い能力が高く、見栄えが良くなりますが、その内訳と推移をみていきますと、回収されず、流動資産内の現金比率が低いこともあります。

そこで、私の場合、財務諸表をみるときに3つの指標を注視しています。
① 自己資本比率 ② 流動比率 ③ 流動資産内現金化比率

①自己資本比率
会社経営が安定しているか、他人に影響を受けやすいかの指標

 純資産/資産合計✕100

□ 返済不要の資本を元手に事業を行っているか?この数字が低ければ他人資本の影響を
受けやすいといえます。              
  →保証会社において、保証履行にあたり、借入依存度合いが分かります。
集金代行型商品比率が高い会社や代位弁済支払い時期が早い会社は、回収前に代位弁済支払いや保証金を積み増す必要があるため、借入に頼る傾向にあり、自己資本比率が低くなる傾向があります。
   借入度合いが高いということは、金融機関からの融資枠を超えた場合、代位弁済支払いの不履行が生じる懸念があります。
一方、一般代弁型商品は、滞納報告から回収までの間、一定期間の督促により、回収が見込めますので、保証するキャッシュは少なくて済みます。

②流動比率
流動資産と流動負債の金額を比較することで短期的(1年以内)な支払い能力を判断する
指標

 流動資産/流動負債✕100 
  
 □ 短期的な支払い能力が支払い義務を上回っているか、支払い余力が分かります。
   →保証会社において、主に代位弁済支払い余力がどれ位あるかが分かり、現金を借入に頼ることになると流動比率が低くなり、資金ショートする恐れがあります。
借入割合が低いということは、自身の事業で代位弁済支払いができていることになります。
    但し、売上按分計上方式をとっている場合、売上残高を流動負債の預り金勘定に計上するため、流動負債が多くなります。

③流動資産内現金化比率
立替え勘定含めた流動資産に対し、現金化されている割合がどれ位あるかを見る指標

現預金/流動資産✕100

□ 流動資産の中で、立替金と現金の割合が分かります。
  →保証会社において、流動資産に占める割合が高い代位弁済金(未収入金)がどれ位現金化されているのか?換言すれば、督促現場での回収率、現場ストレスに関わってきます。

この3つの指標から、
「自己資本比率が高い」×「流動比率が高い」×「流動資産内現金化比率が高い」
=「セーフティー係数(事業継続性指標)」が高く、安心して利用できる会社と言えるのではないでしょうか。

今後の保証会社選び、または、今、利用している保証会社の安定性を見ることが出てきましたら、参考にしていただければ幸いです。