レンタポ

家賃保証を理解する

信用補完制度と倒産隔離

保証会社を利用されるにあたり、根底にあるのは、この保証会社は倒産しないだろうか、
ということになります。
一時、保証会社の倒産が相次いで起こり、管理会社、オーナー、入居者に被害が出て、社会的問題となりました。
管理会社にとっては、オーナー送金ができなくなり、家賃引き落としが突然止まり、自社で督促、回収業務を行うことになりました。
オーナーにとっては、家賃の入金が停止し、ローン支払いができなくなった方もいらっしゃいました。
不動産ファンドの方々は、比較的早い時期から、加速度的に保証会社の利用をされていましたので、その被害も大きく、投資家への説明において多大な業務負担をされました。
保証会社は、これを機に切替えプランとして、低額な保証料で引き受ける商品を作り、営業をしました。

特にリプラス、MAGねっとの倒産については、当時、保証業界のシェアが高かったため、市場への影響が非常に大きく、保証会社の信用問題が大きく取り上げられました。
中でも集金代行型商品は、滞納の有無にかかわらず、全額前家賃で管理会社へ家賃送金をしており、信販会社との提携により成り立っていました。
ここでの問題は、入金経路です。
入居者の家賃を信販会社が引落しにより集金し、集金された家賃を保証会社へ支払い、その後、保証会社から管理会社へ支払い、最後に管理会社からオーナーへ支払うとい経路です。

ここで保証会社が倒産するとどうなるのか、保証会社と信販会社は、保証会社を委託者、信販会社を受託者とした契約となっており、管理会社は、利用者という立場です。
直接の関係は、保証会社と信販会社にあります。
委託者である保証会社が倒産しますと、信販会社から見て、集金業務を依頼する人が不在の状態となり、引落し業務が停止します。
入居者への引落しを停止するには、約1ヶ月程かかりますので、その間に引落しされた家賃は、信販会社へ入金されています。
信販会社として、これを本来、委託者へ支払わなければなりません。支払われなかった場合は、信販会社の債務不履行とみなされる可能性がありますので、保証会社へ支払いをします。
保証会社が倒産するタイミングにより、信販会社からの支払いが止められるかは、違いがありますが、滞納家賃だけでなく、正常家賃も含めて、破産財産となり、管理会社へ全家賃が止まってしまいました。
入居者から見れば、すでに引落しされ、家賃支払いはされている状態ですので、管理会社としても督促回収を行うことはできません。
また、引落しも突然止まってしまいましたので、翌月以降の家賃支払い方法を保証利用者へ連絡し、変更してもらわなければなりません。
お金が止まってしまうというキャッシュ問題と業務負荷問題が明確になり、大きくなりました。
この結果、特に集金代行型商品の入金経路という仕組みの問題が保証業界、管理会社において課題となりました。

このリスクに対して、大手保証会社をはじめ、一部の保証会社は、信託口座を利用し、家賃を分別し、保全する仕組みを取り入れました。
現在もこの集金代行型商品は、普及しておりますが、保証会社が倒産した場合、保全される期間、家賃引落しの継続性には、管理会社が利用する立場として、課題が残っています。

最近は、事業停止された会社はありましたが、目立って倒産することはなくなり、問題意識も薄れてきているように思えます。
管理会社として、再び、同じことが起きてしまった場合、リスクを最小限にすることを考えておかなければなりません。
規模の大小ではなく、本質的には仕組みの問題と思っております。

【集金代行型商品の入金経路】

では、自社保証会社が最小限にリスクを抑えられる商品ができるのか、になります。
私たちでは「共済型スキーム」と呼んでおりますが、提案、提携支援させていただきます。
共済型スキームで金融機関との提携が必要になりますので、全ての方々ができるかという保証はありませんが、キャッシュが止まらない可能性と引落し業務の継続性を高めた商品です。
仕組みを突き詰めていきますと、ここに辿り着くと思っております。
これから始める自社保証会社は、管理会社の信用でオーナーに保証利用の承諾をとっていくしかありません。
この仕組みを採用することにより、さらなる安全性を高め、オーナーへの利用促進に役立てられると考えております。

管理会社の管理物件に自社保証商品を利用していくことを考えれば、信託を利用し、倒産隔離を考えていくまでは、必要はないかもしれません。
保証商品を外販していくことになった場合、計画を考えている場合には、こういった仕組みを検討され、課題とそれをどの程度、解消できるのか、を念頭におく必要があります。