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保証事業について

管理会社が家賃保証事業を行うにあたって

管理会社が家賃保証事業を行うにあたり、専門の保証会社と大きな違いがあります。
売上ラインです。
管理会社が自社保証を行ったとき、毎月の保証引き受け件数が、どれ位伸びるか、どう推移していくか、ということです。
繁忙期と閑散期といった季節要因により、引受件数が増減することはあるでしょう。
毎月、20件前後の契約で推移している会社が50件以上の契約をコンスタントにあげていくには、新築の建物管理を引き受ける、管理変更により管理受託することで一時的に引受け件数が増加することは考えられますが、事業継続の観点から現実的ではないと思われます。
一方、専門の保証会社では、それがありえます。
2000戸~3000戸の管理をお持ちの管理会社が保証利用することになれば、数カ月後に月50件以上のコンスタントな引き受けが可能になります。
管理会社が2000戸~3000戸の管理を受託することは、時間を要します。
事業収支を考える場合、今の管理戸数をもとに売上が一定で推移していくことを前提として、どのような利益推移になるかを見ていった方が現実的なものになります。
管理会社の売上増加率と専門の保証会社の売上増加率とが違うということを念頭におき、実態と照らし合わせ、事業を見ていきます。
これは、少しネガティブな考えではありますが、今の状態でどういった収益が生み出されていくのかを捉え、継続性をみていく必要があります。
これを踏まえ新規管理獲得による増加、保証商品の外販の可能性による増加を加算していきます。

添付した図の左側のグラフは、売上を一定にした場合の売上(青色)と滞納費用(オレンジ色)についての推移になります。
売上を見ますと、ある期間ごとに売上が上がっています。
これは、年間保証委託料の売上が見込めるためです。

一方、滞納費用を見ますと期間経過とともに右肩上がりで増加しております。
ここでいう滞納費用とは、保証会社が保証する月額賃料、明け渡し訴訟費用、残置物の撤去・保管・処分費用になります。
右肩上がりになっていますのは、契約数の累積により、一定比率を掛け滞納数を算出しているためです。
この件数に対して、発生率の係数に単価を掛けたものを保証賃料、訴訟費用、残置物撤去費用ごとに滞納費用として計上していきます。
何カ月ごとに●●件の滞納が発生したと仮定するだろうといった大まかな試算では、事業収支の正確性に欠けてしまいますので、初月から滞納の発生がない状態でも経理上の貸倒引当金の考えで、滞納費用を計上し、その上で収支がどれくらいでるのかを試算していきます。

 1ヶ月2ヶ月3ヶ月
当月契約数10件10件10件
累積契約数10件20件30件
初期滞納率10%10%10%
初期滞納数1件2件3件
回収率(90%)0.9件1.8件2.7件
滞納残数0.1件0.2件0.3件
→滞納費用:右肩上がり

これは、シンプルに「初期滞納率」を累積契約数の10%、「回収率」を初期滞納数の90%、残りを回収できなかったとして、「滞納残数」としております。
期間経過とともに滞納残数が増加していきます。
これに対し、月額賃料を掛けたものが滞納費用となります。
ここには、明け渡し費用や残置物の撤去・保管・処分費用、原状回復費用など含まれていなく、翌月以降の回収もありますが、考え方として見ていただけたらと思います。

この考え方にしますと、期間経過とともに利益が少なくなってしまうことになり、事業継続性に疑問が出てきます。

右側のグラフは、これに対し、ある対策をした場合のグラフになります。
対策をしたグレー色の滞納費用は、低い水準で推移し、期間経過しても利益が増加、安定していきます。

もちろん滞納が無い、少ない管理会社、すでに管理戸数全てに自社保証が利用されている管理会社でしたら、滞納費用が予測できるかもしれません。
滞納費用を見ていく上で、このように累積契約数に掛け率をかけていくことは、滞納の場合、1人が翌月以降も同じ家賃を支払い、滞納することがあると考えるためです。
お金の貸し借りにおいては、1人に10万円を貸すとそれを計上すれば、翌月も借りない限り、確定債権として、費用発生はしないと考えますが、賃貸の場合、入居中は、債権が変化していくことを念頭におきます。

まず、滞納費用をどうとらえか、専門の保証会社の様に割ける人員、専任、キャリアが違いますので、この考えを基本とし、これから事業開始するにあたり、少しネガティブに考え、損益分岐点などを把握し、事業性を捉えていきます。